本が好きな人でも以外と文学賞について知らない人も多い
かくいう自分も本屋大賞の本とかを買った時に帯を見て
「◯◯賞、〇〇賞と3冠」
とか言われても全然ピンとこない
そこで今回、特に有名な文学賞について調べてみた
芥川賞と直木賞
まず文学賞と言われて思い浮かぶのはこの賞だろう
1935年に文藝春秋の創設者、菊池寛によって創設され
2019年で84年の歴史を持つ賞だ
この歴史の長さが
日本で一番権威あり、有名な賞である理由だ
純文学の賞が芥川賞で
大衆文学の賞が直木賞と言われている
それぞれ年に2回(1月と7月)選考が行われていて
2人受賞するときもあれば
0人受賞というときもある
それではもう少し詳しく見ていこう
芥川賞
芥川龍之介といえば
『鼻』、『羅生門』、『地獄変』、『蜘蛛の糸』、『杜子春』などで有名な
1892-1927に活躍した近代文学作家である
そんな芥川龍之介の名を冠したこの賞は
新人に与えられる純文学の賞
2019年現在の選考委員は
小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・堀江敏幸・松浦寿輝・宮本輝・山田詠美・吉田修一
対象は
- 新人
- 短編ー中編
- 純文学
となっているが
新人に年数制限はなければ
短編ー中編、に文字数やページ数制限もない
純文学というのは
「文章としての美しさ、芸術性に重きを置いた作品」ということになっているが
これもまあ曖昧なものではある
基準は曖昧ではあるが
基本的には基準に沿っていて
まだ有名ではない作家さんが書いた薄い純文学作品が多い
なんとなく「芥川賞」っていうと格式高いようなイメージがあってとっつきにくく思われがちだが、薄くて読みやすい本も多く
案外、小説読み始めの人にも向いていたりする
一番最近の受賞は
『むさらきスカートの女』今村夏子
単行本で160pであり
デビューからは8年経っているが作品としては5作目なので新人とも言えそうか
話題になった2015年の受賞作
『火花』又吉直樹
はデビュー作であり、文庫で180p
もう一人の受賞作品
『スクラップ・アンド・ビルド』羽田圭介
も150pと短い
ただデビューからは10年以上立っているので新人かっていうとそうでもない感じ
直木賞
新人の短い純文学に与えられる賞に対して
中堅以上の長さ自由の大衆文学に与えられる賞が直木賞
※設立当初は直木賞も新人が対象
選考委員は
浅田次郎・伊集院静・角田光代・北方謙三・桐野夏生・髙村薫・林真理子・宮城谷昌光・宮部みゆきの9名
いってしまえばなんでもありな賞である
ただイメージとしては多少硬い感じの本が多い印象はある
そしてSFやミステリの受賞は少ない
これはなんか仕方ない気がする
余談だがSF作家である筒井康隆は直木賞を受賞できなかったためか
『大いなる助走』という本で
直木賞をもじった直井賞の選考委員を皆殺しにしているらしい
これは読書家の友人にかつて紹介されて
まだ読んではいないので近いうちに読もうと思う
最新の受賞作は
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』大島真寿美
三島賞と山本賞
芥川賞と直木賞と比べるとずいぶん知名度は落ちるが
もう一つの有名な賞が
1988年に創設され現在31年目となる
新潮社が主催している三島賞と山本賞だ
三島賞が純文学
山本賞が大衆文学
に贈られる賞
三島賞には新人や短編といった枠組みはないようだ
山本賞の名前になっている
山本周五郎は、直木賞唯一の辞退者
本屋大賞
2004年から始まった
書店員が選ぶ賞
上記4つは書き手である作家さんたちが選ぶ一方
こちらは読み手である書店員が選ぶ
12月からはじめ4月に結果を発表する
歴代本屋大賞、大賞受賞作品のまとめは以下記事
https://thun-fin.com/?p=593
基準としては
書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本 (本屋大賞公式HPより)
ということで純文学も大衆文学も問わないが基本的には大衆文学がメイン
純文学が大賞を受賞したことはないが
『コンビニ人間』や『火花』といった芥川賞作品もノミネートはしている
最近では直木賞ノミネート作品が本屋大賞ノミネートしていることも多い
山本賞と本屋大賞同時受賞というのも多い
もともと三島賞と山本賞はそこまで硬くなりすぎずに
門戸広く賞を与えるのも魅力の1つ
『蜜蜂と遠雷』恩田陸
は初めての直木賞、本屋大賞同時受賞となった
これに関しては、棲みわけがどうの、と賛否あるようだ
直木賞の項目でちょっと触れたが
直木賞の方がやや硬く社会に根ざしたようなテーマを扱っている作品が多く
本屋大賞の方がポップな感じの本が多いのは事実
だけどだからと言って
直木賞の本の方が格式ある、みたいな発想はしょうもないと思う
本屋大賞は本屋大賞で
売り上げへの影響力が大きくなりすぎて、素直な選考ができなくなってきている
とかいう批評もあったりするようで
選考辞退している作家さんもいる
でもまあ読み手としては知ったこっちゃない
どんなに厳格にシステムで選んでも結局小説なんだから主観になるわけで
面白そうな本を紹介してくれるならそれでいいんじゃないかな
吉川英治文学新人賞
本屋大賞受賞作を調べていると
やけに出てくるのがこの吉川英治文学新人賞
1980年に始まった講談社が主催する賞
大衆文学が対象の賞で
新人の定義はまだ山本賞や直木賞をとっていない
くらいの感覚だが、それほど新人って感じではないが
知名度がまだそこまでない方の良き作品を
ジャンルを問わず発見してくれる賞として注目したい
本屋大賞作品の
『村上海賊の娘』『天地明察』などもこの賞を受賞している
ミステリの賞
ミステリに関してはあまり詳しくはないので
3つほど調べたことを簡単に紹介
日本推理作家協会賞、江戸川乱歩賞
日本推理作家協会が主催する賞で
日本推理作家協会賞:
1948年に創設された年間最優秀作品を決める権威ある賞
江戸川乱歩賞:
1954年に創設された長編ミステリに与えられる公募の賞
本格ミステリ大賞
2001年に創設された本格ミステリを対象とした賞
東野圭吾さんの探偵ガリレオシリーズの1冊
『容疑者Xの献身』や
もうすぐ映画化で話題となっている
今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』も受賞している
このミステリーがすごい!大賞
2002年に創設された公募の賞
自分でも聞いたことあるくらい有名な賞だったので調べてみた
有名な理由はおそらく賞金が1200万円と高額なこと
ミステリに限らずあらゆる文学賞の中で賞金が1番大きい
ただやはり公募の賞ということで有名作家さんの受賞は基本的になく
受賞作品を自分はほとんど知らなかった
SFの賞
SFの賞も簡単に3つ紹介
星雲賞
1979年にはじまった年間最優秀作品に送らられる賞で
SFの中では最も歴史ある賞
日本部門だけでなく
海外部門や映画演劇部門、コミック部門もある
日本部門では有名で自分も好きな
『ハーモニー』伊藤計劃が受賞している
そしてちょっと意外なところで
『図書館戦争』有川浩
も受賞している
映画演劇部門は面白くて
スターウォーズからとなりのトトロ
魔法少女まどか☆マギカ、シン・ゴジラが受賞している
コミック部門では
鋼の錬金術師やこち亀が受賞している
日本SF大賞
星雲賞と同じく年間最優秀作品に送られる賞で
1980年に創設された
『蒲生邸事件』宮部みゆき
や
『新世界より』貴志祐介
が受賞している
ハヤカワ・SFコンテスト
1962年に創設された公募の賞
途中20年間、中断していた賞だが
歴史ある賞だ
まとめ
いかがだったでしょうか?
自分も調べながら紹介していながら
賞を受賞した作品も読んでいないものばかりでした
賞に頼って本を選んで見るってのも悪くないですよね
ここまで読んで頂きありがとうございました