終身雇用の崩壊が叫ばれる昨今、2019年にはあのトヨタも「終身雇用が厳しい」という発言をし、注目を集めました。
また、いまは産業の寿命も短くなり、企業の寿命よりも個人の寿命の方が長くなっているということも言われています。
これからは会社に頼りっきりではなく、自身でキャリアを築いていく時代です。
自身でキャリアを築いていくとなると、フリーランスや起業というもののほうが目立ちがちです。会社に縛られないその自由さに憧れを抱いている人も多いです。
しかし、別に全員が全員フリーランスになったり起業したりする必要はありません。
サラリーマンとしてキャリアを形成していくことにもメリットはあります。
ただ、サラリーマンとしてのキャリア形成というのは「1社に勤め上げる」ということではありません。
「サラリーマンだからこそのメリットも享受しながら、転職と副業を組み合わせていく。」
これがこれからのサラリーマンの生き方です。
そんな「転職と副業を組み合わせて生きていくための方法」を教えてくれるのが
『転職と副業のかけ算』moto
自分が転職活動をしようと思った時に、まず読んだのがこの本でした。
著者のmotoさんは、20歳で就職してから4回の転職を経て、年収を240万から5000万にすることに成功しています。
そんな著者の実体験から書かれている本で、考え方から具体的な方法まで非常に参考になりました。
そこで、この記事では、自分が転職活動するにあたって特に参考になった点を3ポイントピックアップしてご紹介します。
仮にフリーランスや起業を目指している方でも、まずは「サラリーマン×副業」からはじめるのが良い面もありますので、そういう方にもおすすめできる本です。
転職活動をしている、しようと思っている人
これから就職してキャリアを形成していく学生さん
サラリーマンの副業について知りたい人
転職に役立った本まとめ記事↓
『転職と副業のかけ算』の概要
【概要】
著者:moto(Twitter:@moto_recruit)
出版社:扶桑社
出版年月日:2019/08/09
ページ数:239p
冒頭でも紹介したように、著者のmotoさんは、20歳で就職し、その後副業と転職のかけ算で、30歳で本業年収1000万、副業年収4000万を達成しています。
実際、motoさんが運営する「転職アンテナ」というブログは、
「転職エージェント」という検索でリクルート、マイナビに続いて3位
「転職エージェント おすすめ」という検索で1位となっています。(2020.9.11時点)
転職ジャンルといえば、アフェリエイト収入が大きいことで有名です。だからこそ多くのブロガーが挑んでいるこのジャンルです。そこでこの結果は、並大抵のことではありません。
Twitterフォロワーも12万人を超えて、「転職といえばmoto」という地位を築き上げています。
転職は、フリーランスや起業家では経験できない領域なので、まさにサラリーマンとして「転職×副業のかけ算」の大成功例と言えると思います。
自分の市場価値を高めることが本当の安定
本書で一貫して言われていることは、副業も転職も自身の市場価値を高める1つの手段だということです。
昔のように「大企業で働く」のが安定ではなくなった現代では、「個人で稼げる」すなわち「どんな環境でも稼げる」ということが本当の安定なのです。
そして「個人で稼げる」ようになるためには、市場価値の高い人材になる必要があるというわけです。
では、市場価値の高い人材になるにはどうしたらいいのか?
この答えはいたってシンプルで、「本業に真剣に取り組む」です。
転職も副業も、まずは本業を頑張ってこそ成り立ちます。
しかし、本業を頑張るというのは、言われたことをしっかりやるということではありません。
「新しいことに挑戦」したり、「自分で考えて行動」していく必要があります。
やったことのないことに挑戦する機会をもらい、そこで成果を出す。これが次のキャリアに進むうえで大切な姿勢だと思います。
転職で最も評価されるのは「考えたうえでの行動経験値」です。指示の裏にある背景を理解したうえでの行動ならば、しっかりと評価されます。
会社員は、所属している企業という看板があるうえに、会社という後ろ支えがあるので、リスクがとりやすいし、挑戦もしやすい環境です。
だからこそ、その環境を存分に生かしていくのが、会社員のメリットを受けながらのキャリアの進め方です。
ただ、会社に成長させてもらうということだけを考えていればいいわけではありません。
会社に成長させてもらいながら、会社を成長させる、こういう健全な関係性こそが理想です。
会社のあらゆる機会を利用して自分が成長しつつ、どんな会社の成長も牽引できる存在。これこそが「市場価値の高い人材」です。
このように、本業に真剣に取り組むための考え方や行動について、本書の中では著者の経験をベースに紹介されています。
正直、ここの内容は、言われなくてもわかっているし、言うのは簡単だけど実際にやるとなると難しいと言う面もあるかと思いますが、改めて認識しておく価値があると感じました。
経験を基にした具体例が書かれれいる点もありがたいです。抽象化されたエッセンスだけではなく、具体例やストーリーがあるのが本の価値かなと感じています。
次の次を見据えた転職
本業での実績を武器に、さらに自分の挑戦・活躍の幅を広げるために転職をします。
その際に重要な考え方の1つが「軸ずらし転職」です。軸というのは業界や職種のことです。
年収を上げていくためには、業界と職種のどちらかをずらしていという考え方が重要になってきます。
なぜなら、この「職種×業界」で年収の大枠が決まってしまうからです。
実は年収というのは、「職種×業界」で大枠が決まっています。役職(役員、部長、課長、リーダーなど)や、企業ランクと企業属性(外資系、日系大手、中小、ベンチャーなど)も関わってきますが、大きな要素は「職種×業界」にあります。
これはブログやYouTubeなどでもいわれることです。ブログやYouTubeでもジャンルが収入に大きく関係します。
同じ能力だとしても、どの業界に属するかということが非常に重要になってくるのです。
年収が多い業界といえば、商社やコンサル、金融、広告などがあります。
実際、東大・京大生の就活人気ランキングなどを見ると、これらの業界の企業だらけなのがわかります。
しかし、年収が高い業界となると、人気も高く未経験から入るのは大変です。
ですので、職種を固定した上で業界だけずらしていくことで、転職成功率を高めていくのです。
業界か職種に軸足をもって、その経験をいかして別の挑戦をしていくためにはこの考え方が非常に重要になってくると思います。
もう1つ読んでいて面白いと思ったのは、「次の次のキャリアまで考えての転職しよう」と書かれていた点です。
「今この瞬間なにがやりたいか」ということだけでなく、「自分が実現していきたいキャリアはどのようなものか?」そして「そのためにはどのような経験が必要か?」ということを考えて転職活動をしていくということです。
進みたいキャリアを考える時には、求人票に書かれている必須経験などを見るのも有効です。
エージェントはどう使うのか、職務経歴書はどのように書いたら良いのかといった具体的な転職活動のポイントも本書の中で紹介されています。
副業の3つのメリット
1つ目は「個人のブランド化」、2つ目は「収入チャンネルの増加」、3つ目は「本業での市場価値向上」です。
副業のメリットとして挙げられているのが、上記の
①個人のブランド化
②収入チャンネルの増加
③本業での市場価値向上
です。
まず「①個人のブランド化」についてです。
副業で稼ぐ、特に個人で稼ぐとなると「自分は何者なのか?」「何ができる人なのか?」というのが強く問われます。
そこに答えていくために、自分のブランディングが必要になっていきます。
「どこに所属している」という看板を前に出すのではなくて、自分というブランドを作っていく必要があるのです。
学歴や社歴がどんなに良くても、いざ副業で稼ごうと思ったら、それらの書面状の経歴はなんの役にも立ちません。
その経験から何を得たのか、何ができるのか、それこそが重要ですし、それをしっかりと伝えなければいけません。
次に「②収入チャンネルの増加」です。
これは分かりやすいと思います。会社の給与だけに依存すると、会社への依存度が高くなってしまいます。
一方、副業での収入もあれば、程よい距離感で仕事をすすめることができます。
会社での収入と、個人での収入の両方があることで、金銭的にも精神的にも余裕が生まれます。
最後に「③本業での市場価値向上」です。
副業での収入もあり、金銭的にも精神的にも余裕がある人は、会社にしがみつく必要がないので、大きな挑戦をしやすくなります。
挑戦しやすい状況、というのは市場価値向上に不可欠です。
そのように個人で稼げるような優秀な人材が集まっている企業こそ、強い企業なのでしょう。
個人としては、本業での市場価値を向上させて、新しい経験をして、それを武器に副業をする。
このように、本業と副業の両輪を回すことで、収入を上げていくこともできるのです。
『転職と副業のかけ算』で生涯年収を最大化する
転職や副業も繰り返しながら、キャリアを形成していくための考え方や行動例がぎっしり紹介されているのが本書です。
これからどうやってキャリアを築いて行こうかと考えている方は是非、読んでみてはいかがでしょうか。
他に転職に役立った本をまとめています。