終身雇用が崩壊しつつある(すでにしている?)現代では、大手企業に入社すればあとは安泰という状況では決してありません。
このような時代では、自身のキャリアをどのように形成していくかということを、昔以上に考える必要があります。
キャリアを進めていく上で、転職を考える人も多いのではないでしょうか。
実際私自身も、大学院を卒業して大手企業に入社したものの、1年少し勤めた後に、転職をしました。
友人でも、入社後1-3年程度での転職をしている人が何人かいます。
ただ、やはり初めての転職となると、
・何から始めたらいいのだろうか?
・本当に転職という選択肢が正しいのだろうか?
・転職はうまくいくのだろうか?
・転職して自分にあった会社が見つかるのだろうか?
・スキルでアピールできることは少ないが大丈夫だろうか?
などなど、いろいろな不安があります。
その際に、周りの人への相談もしましたが、同時に転職やキャリアにまつわる本を何冊か読みました。
そこで今回は転職の際に実際に読んで、役に立った本をご紹介します。
転職しようと思っているがわからないことが多くて不安
転職という選択肢ももてるように備えておきたい
自身のキャリアについて考えたい
転職の方法や考え方について知ることができる本
『転職の思考法』北野唯我
「転職前に読んだ方が良い本を、1冊だけし紹介してくれ」と言われたら紹介したいのが
『転職の思考法』北野唯我
博報堂、ボストンコンサルティンググループを経て、現在は人材ポータルサイトを運営するワンキャリアの取締役となっている北野唯我さんの本です。
この本は、転職の具体的な方法というよりは、転職するにあたっての考え方を教えてくれます。
・転職した方がいいのか?しない方がいいのか?
・会社を選ぶ時はどのような基準で選んだら良いのか?
・エージェントを使うときの注意点は何か?
・転職時に生じる不安や迷いとどう向き合うのか?
・転職について人に相談するにあたってどんな注意点があるのか?
・自身の市場価値をどう測るのか?
などについて、触れられています。
・転職を考える主人公
・転職をサポートするスーパーエージェント
・同じタイミングで転職を考えている友人
・転職をよく思わない自社の社員
などが出てきてストーリー構成になっているので、非常に読みやすいのもありがたいポイントです。
ただ一方で、「フィクションだから現実的でない」「北野唯我さん自身の経験ではないので、再現性がない」と感じる方もいるようです。
実際の体験談ベースの本を読みたい方は、次に紹介する『副業と転職のかけ算』がおすすめです。
■マーケットバリューは①技術資産、②人的資産、③業界の生産性、で決まる
■「ベンチャーの動向」や「既存業界の非効率をつくロジックがあるか」に注目して伸びる業界を選ぶ
■「やりたいこと(To Do)」ではなく「なりたい状態(To Be)」で考える
『転職と副業のかけ算』moto
次に紹介するのが、「専門学校卒の年収240万」から4回の転職を経て「30歳で年収1,000万」になったmotoさんの
『転職と副業のかけ算』moto
motoさんは、その転職経験を生かして、転職についてのブログを運営し、本業年収が1,000万になった30歳時点で、4,000万の収入を達成しています。
(実際「転職エージェント おすすめ」という検索でトップに表示されるのがmotoさんの「転職アンテナ」というブログの記事になっています。このブログ記事も参考になりました)
この本の特徴はなんといっても、実体験ベースに書かれていることです。
motoさんは、「年収を上げる」ということを大きな目標に据えた上で、転職をしていきました。
その過程が時系列に沿って紹介されています。
転職をしていく上で
・どのようなことを意識したのか?
・エージェントをどう使ったのか?
・どんな苦労があったのか?
などが具体的に書かれています。
副業で本業以上の収入を得つつも、独立をしないのは、本業で得た経験こそが、副業のブログで役立っているからです。
この「転職(本業)」と「副業」のかけ算という考え方も、会社員としてキャリアを築いていく人にとっては、非常に参考になります。
■市場価値をあげるためには本業に打ち込む
■給与をあげていくためには軸ずらし転職をする
■副業によって収入チャネルも増えて、市場価値も上がる
『科学的な適職』鈴木祐
転職をする理由として「今の仕事/職場への不満」というのがある人も多いと思います。
しかし、「なんとなく不満はあるけど、具体的にどういう職場なら満足できるのかも、いまいちわからない。転職しても変わらないんじゃないか?」なんて思う人も多うのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが
『科学的な適職』鈴木祐
著者の鈴木祐さんの本といえば、『最高の体調』『ヤバい集中力』なども有名です。科学のデータを元に解説してくれるので、非常に納得感があります。
DaiGoさんの帯の印象が強く、「DaiGoさんの本なのか?」と一瞬勘違いするという特徴もあります。
この本も
・仕事選びの基準として正しくないもの
・どのような仕事に就いたら幸福度が高いのか
・どのような職場だと満足度が下がるのか
などについて、研究データなどの科学的なエビデンスに基づいて解説してくれます。
「なんとなく今の職場に不満があるが、具体的な原因はわからない」「転職しようにも何を基準に選ぼうか迷う」という方に非常に役立ちます。
■給料と仕事の満足度の相関係数は0.15
■好きを仕事にしても幸福度は上がらない
■仕事の満足度を高めるためには、「自由」「達成」「仲間」「貢献」「多様」などが重要
転職時の自己分析に役立つ本
転職時に聞かれる主要質問が
■自己紹介/自己PR
→「何をしてきて、何ができて、これから何をしたいか?」
■転職理由
→「転職で何を実現したいのか?」
■志望理由
→「どう貢献できるのか?」
これらに答えるためには、今までの経歴を洗い出したり、志望企業の企業分析なども必要ですが、同時に自分の強みやスキル、将来のビジョンを理解していることが非常に重要になってきます。
第二新卒といわれるような卒業から1-3年目のような転職では、確固たるスキルや実績が少ないため、この自己分析の部分が特に重要になってきます。
そもそもこの自己分析がしっかりできていないと、入社できる確率が下がるだけでなく、納得のいく転職の実現確率もさがってしまいます。
新卒のときも自己分析をしていると思いますが、実際に社会人として働いた経験も踏まえて改めて考え直すと新しい発見があります。
『スタンフォード式 人生デザイン講座』ビル・バーネット
人生観や仕事観などを明確にしていきながら、自分の人生をデザインしていくための方法や考え方が書かれている本が
『人生デザイン講座』ビル・バーネット
この本の中でも特に面白かったポイントが、「自分にとっての理想の生活を3パターン想像して計画表に書いてみましょう」というワークです。
人生には唯一の正解があるのではなく、いくつかの正解があるという考えのもと3パターン考えるワークがあります。
またこれをあまり長期間で考えるのではなく、あえて5年に限定して考えるというのも面白いと思ったポイントです。
『やりたいことの見つけ方』八木仁平
『人生デザイン講座』は近未来を見据えながら、少し空想や感情ベースで自己分析をしていく本です。
一方で、過去の経験などに関する質問を通して自己理解を深めていき、論理的にやりたいことを見つけていくための本が
『やりたいことの見つけ方』八木仁平
オリラジあっちゃんのYouTube大学でも紹介されていた本です。
やりたいこと =
好きなこと × 得意なこと × 価値観
この公式に則って、やりたいことを見つけていきます。
「やりたいことは、単に好きなことではないですし、得意なことでもない。3つが合わさったところがやりたいこと」という考えをベースに、この3つを探っていくための方法や質問が書かれています。
質問も多すぎない一方で、具体例が豊富なので、負担が少なく自己分析を進めることができます。
自己分析の本というと『メモの魔力』の自己分析1000問ノックもありますが、あれは途中で挫折します汗
これからのキャリアや人生を考えるのに役立った本
最後はやや番外編にもなりますが、個人的にこれからの人生について考えるのに役に立った本を2冊ご紹介します。
『シン・ニホン』安宅和人
まずご紹介したいのが
『シン・ニホン』安宅和人
安宅和人さんといえば、『イシューから始めよ』という本でも有名です。ロジカルシンキング関係の本などを読んだことがある人は知っている人も多いと思います。
その安宅さんが、「このままだと間に合わなくなる」という危機感をもちつつも「いまからでも間に合う」という強い熱意をもって、日本がもう一度立ち上がるための戦略を書いた本です。
全6章構成になっていて、初めの1,2章でデータ×AIにまつわる世界と日本の状況を紹介。そこでは、日本が世界に取り残されている状況が書かれています。
そして3~6章で人材育成や、国のリソース配分についての戦略を詳細に記していきます。
これからのデータ×AIの時代に、「自分はどう貢献していこうか?」「どんな未来を作っていこうか?」「そのためになにが必要か?」ということを教えてくれる本です。
少々分厚いですが、AIを扱うことを仕事にしてる人に限らず、あらゆる人にとって何かしらの気づきを与えてくれる本です。
自分はIT系に関心があったので、『ソフトウェアファースト』という本も、ITにどう関わっていくかということを考えるのに、非常に役立ちました。
『ライフシフト』リンダ・グラットン
『シン・ニホン』はデータ×AIという時代での生き方について書かれていますが、もう1つの時代の変化として長寿化というものがあります。
「人生100年時代」という言葉でも有名になった本が
『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン
人生が100年になると、今までの「教育(~20才頃)→労働(~65才頃)→老後」というモデルがなりたたなくなります。
なぜなら、もし寿命が100年になると、労働の期間と同じくらい老後の期間が生まれてしまうからです。
そのような時代では、いままでにない様々な生き方が生まれてきます。
テクノロジーの進歩やリモートワークの普及、個人で稼ぐ方法の増加なども、生き方の変化を後押ししています。
従来の価値観に囚われずに、生き方を変えていく、ライフシフトしていくための考え方について書かれているのがこの『LIFE SHFT』という本です。
どちらかというと、会社員ではない働き方に重きがおかれてはいますが『働き方2.0 vs 4.0』という本も非常におすすめです。
後悔のない転職のために本を読んで人とも話す!
後悔のない転職を達成するためには
①転職の軸をもって、自分にあった転職先を見つける
②志望企業に合格する
のそれぞれが大切ですが、特に①のために役立つのが、自分一人で考えるだけでなく、本を読んだり人と話したりすることです。
転職を考えている人や、キャリアについて考えたい人は、今回紹介した本の中で気になったものを手にとってみてはいかがでしょうか。