2004年からはじまって2019年で16回目となった本屋大賞
年々注目度があがっている本屋大賞の
大賞受賞作品について
基本情報をまとめて
ざっくりと傾向の分析までしてみました
主観的な好き嫌いは別記事でまとめるとして
今回は基本情報を中心にまとめています
おすすめ本は下記記事で
【2020.04.25 追記】
2020年4月7日に第17回の大賞が発表されました
本屋大賞2020
大賞は
『流浪の月』凪良ゆう
おめでとうございます!
本屋大賞とは
書店員の投票だけで選ばれる賞です。
「本屋大賞」は、新刊書の書店(オンライン書店も含みます)で働く書店員の投票で決定するものです。過去一年の間、書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票します。 また「本屋大賞」は発掘部門も設けます。この「発掘部門」は既刊本市場の活性化を狙ったもので、過去に出版された本のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと書店員が思った本を選びます。(本屋大賞公式ページより)
ルールとしては
書店員が選ぶ
この1点
多くの文学賞が作家さんが選ぶものという中で、読み手側が選ぶ賞として貴重な賞だ
Amazon reviewといった雑多な大衆ではなく、毎日本に触れている書店員さんの審査というのがまた良い
審査もじっくりおこなわれている
(1) 一次投票で一人3作品を選んで投票
(2) 一次投票の集計結果、上位10作品をノミネート本として発表
(3) 二次投票はノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、
ベスト3に順位をつけて投票。
(4) 二次投票の集計結果により大賞作品を決定
投票の得点換算は、1位=3点、2位=2点、3位=1.5点
(本屋大賞公式ページより)
ここまでやって選んでくれるなんてもうただただ感謝
たぶん10作品から3冊を選ぶのだってめちゃくちゃ迷うと思う
極論順位なんてつけたくないと思うんだ
それでも順位をつけ選んでくれる
そうやってたくさんの書店員さんが必死に悩んで選んでくれているのが本屋大賞
※システムはここまでで変わってきたが
ざっと見たかんじ、2009年の第6回から二次投票では全作品よんで感想コメントつきで投票するということがはじまっているようだ
あえて傾向をあげるなら(というか結構傾向強い)
読みやすく、わかりやすく、映像化しやすい、読了感もポジティブ
そういう意味で大衆受けしやすい作品が多い
そのため、普段小説を読まない人にとっても紹介しやすい本が多い
(逆に大衆受けするのが嫌いなあまのじゃくさんには向かない
読書好きの中にはひねくれものさんも結構多いんでね、そんな多様性も読書の魅力!)
かくいう自分も小説にのめり込んでいったきっかけは
大賞作品の『舟を編む』だった
わかりやすくて明るい作品は好きなので
それ以降も小説を選ぶときに大賞作品、ノミネート作品は大いに参考にしている
でもノミネート作品全部が全部わかりやすくて明るいのかっていうと
そういうわけでは決してない
コンビニ人間や火花、1Q84などといった純文学作品もノミネートしているし
少し重たい雰囲気の本もノミネートはしている
なので人によっては大賞よりも2位や3位くらいの作品が特に好きという方も多いんじゃなかろうかと勝手に思っている
余談だが売上への影響が大きくなってきて
商業と結びつきすぎて、営業などが激しくなり公正さが失われている
とかそんな批判もあったりはするらしい
まあそんなことは知ったこっちゃない
本屋大賞歴代大賞の一覧
![](https://thun-fine.com/wp-content/uploads/2019/09/hontai.jpg)
基本情報
![本屋大賞2020](https://thun-fine.com/wp-content/uploads/2019/09/本屋大賞2020.jpg)
※ジャンルの「青春」というのは、何か目標があってそこに向かっていく様子を描いたような作品、それ以外の作品でミステリ、SF、純文学以外をエンタメとした
※ページ数は基本文庫本でのページ数
エンタメ:6
青春:4
ミステリ:3
時代小説:3
ファンタジー:1
時代小説は史実を丁寧に書き上げるというよりは、史実をベースとしたワクワクできる青春小説といった雰囲気
ミステリも、トリックにこだわった本格ミステリというよりは、人物描写にもちからをいれているエンタメ要素の強い3作品
エンタメ作品でも、あまり重いような題材ではなく、優しい気持ちになれる作品が中心
映像化との相性の良さもわかる
読書チャート
![](https://thun-fine.com/wp-content/uploads/2019/09/本屋大賞2020_map.jpg)
![](https://thun-fine.com/wp-content/uploads/2019/09/本屋大賞2020_map2.jpg)
上が登場人物がかっこよく理想的
下が登場人物が悩みや暗い気持ちを多く抱えているという意味で現実的
読んだ後に爽やかな気持ちになるのが右
読んで色々考えさせられるのが左
そんなかんじでマッピングしてみたのが上の図
(軸の項目は必ずしも背反するものではないが、主観で判断)
色についても
ワクワク、心温まる、切ない、不思議
とそんなひとことでくくれるものではないが雰囲気だと思っていただきたい
ゴールデンスランバーは伊坂ワールドという不思議感があるので不思議
告白はイヤミス(読んで気分が嫌になるミステリ)という独特のジャンルなので不思議にした
こうみると
右上の魅力的な登場人物が出てきて、読んで爽やかな気分になる作品が多いことがわかる
自分はそういう作品が好きなので本屋大賞作品が好き
また、右上ではないが『告白』や『鹿の王』もかなり好きな作品
以下でそれぞれについて簡単に紹介する
映像化の部分ではAmazonPrimeで見れるかも書いておいた
『博士の愛した数式』『東京タワー』『告白』
『舟を編む(アニメ)』『羊と鋼の森』が無料で見れる
※情報は2020.5.22時点
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本屋大賞歴代大賞の詳細情報
![](https://thun-fine.com/wp-content/uploads/2019/09/hontaitana-scaled.jpg)
『博士の愛した数式』小川洋子
2004年、第1回本屋大賞
結果発表&発表会レポート
テーマ:数学、80分しか残らない記憶、愛
ジャンル:エンタメ
ページ数:291p(文庫)
映像化:寺尾 聰、深津絵里主演で映画化(Prime無料)
著者紹介:『妊娠カレンダー』で芥川賞受賞
内容紹介:記憶が80分しか残らない数学が大好きな博士と、そこへきた家政婦と息子の物語。静謐な文章で描かれる数学と愛情の物語で優しい気持ちになれる。
『夜のピクニック』恩田陸
2005年、第2回本屋大賞
結果発表&発表会レポート
テーマ:歩行祭、高校生
ジャンル:エンタメ
ページ数:455p(文庫)
映像化:多部未華子、石田卓也ら主演で映画化(Prime有料)
著者紹介:『蜜蜂と遠雷』で直木賞受賞
内容紹介:高校生の一日中歩く伝統行事「歩行祭」をテーマとしている。恋心とは違う理由で意識し合う男女二人の心のうちの変化を描く。場面としてはあるき続けるだけ、という変わらない中で揺れ動き変化していく心の描き出す。
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー
2006年、第3回本屋大賞
結果発表&発表会レポート
テーマ:家族、人生
ジャンル:エッセイ
ページ数:522p(文庫)
映像化:オダギリジョー、樹木希林ら主演で映画化(Prime無料)
著者紹介:マルチタレント
内容紹介:著者の体験を元に、家族との関わり方を描き出す。映画化もドラマ化もされ、話題になった作品。
『一瞬の風になれ』佐藤多佳子
2007年、第4回本屋大賞
結果発表&発表会レポート
テーマ:陸上、高校生部活
ジャンル:青春
ページ数:272+320+464=1056p(文庫1,2,3巻)
映像化:内博貴、長谷川純ら主演で4話ドラマ化
内容紹介:部活での陸上競技を描いた高校生青春スポーツ小説。天才型の連と、努力型の神二。お互いがお互いを刺激し合う関係。むず痒くなるほどのまっすぐな気持ちを描いた作品。
『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
2008年、第5回
結果発表&発表会レポート
テーマ:逃走劇
ジャンル:ミステリ
ページ数:690p(文庫)
映像化:堺雅人、竹内結子ら主演で映画化(Primeなし)
著者紹介:『死神の精度』で日本推理作家協会賞受賞
内容紹介:首相暗殺の疑いを書けられた男の逃走劇。自分ではどうすることもできない何かに押しつぶされていく主人公。いったい何を信じたらいいのか。
『告白』湊かなえ
2009年、第6回
結果発表&発発表会レポート
テーマ:復讐
ジャンル:イヤミス
ページ数:320p(文庫)
映像化:松たか子、岡田将生ら主演で映画化(Prime無料)
著者紹介:『望郷』で日本推理作家協会賞
内容紹介:色々な人の視点で語られていく中で、それぞれがつながり、浮かび上がってくる真相。読んで嫌な気分になる、というイヤミスの女王、湊かなえさんの作品で、読んでいてゾクゾクする。
『天地明察』冲方丁
2010年、第7回
結果発表&発表会レポート
テーマ:暦、算術、江戸時代
ジャンル:時代小説
ページ数:282+290=572p(文庫上下)
映像化:岡田准一、宮崎あおいら主演で映画化(Primeなし)
著者紹介:『十二人の死にたい子どもたち』が最近映画化
内容紹介:算術化、渋川春海は徳川家の治世に日本の暦を作成することを命じられる。「天」と春海の壮大なる戦いにはたくさんの人達の協力が必要不可欠だった。その一部始終を追った青春時代小説。
『謎解きはディナーとあとで』東川篤哉
2011年、第8回
結果発表&発表会レポート
テーマ:ミステリ
ジャンル:短編本格コメディミステリ
ページ数:348p
映像化:櫻井翔、北川景子ら主演でドラマ化(Primeなし)
内容紹介:金持ちお嬢様刑事麗子と毒舌執事影山でお送りする短編本格コメディミステリ。麗子お嬢様の推理を「お嬢様の目は節穴ですか?」とばっさり。そこから軽快な謎解きを披露していく。その掛け合いがコミカルで、謎解き部分もしっかりしている。
『舟を編む』三浦しをん
2012年、第9回本屋大賞
結果発表&発表会レポート
テーマ:辞書編集
ジャンル:青春
ページ数:347p
映像化:松田龍平、宮崎あおいら主演で実写化(Prime有料)、アニメ(無料)
著者紹介:『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞
内容紹介:真面目な馬締は、辞書制作に関わりだした。馬締の周りの人々も含め、辞書制作にかける思い、言葉にかける思いがひしひしと伝わってくる。辞書制作という一風変わったテーマを使った青春小説は言葉への愛を深めてくれる。
『海賊と呼ばれた男』百田尚樹
2013年、第10回本屋大賞
テーマ:戦前戦後、出光興産創業者
ジャンル:時代小説
ページ数:480+448=928p(文庫上下)
映像化:岡田准一、綾瀬はるから主演で映画化(Primeなし)
著者紹介:『永遠の0』が有名、2019年作家引退を発表
内容紹介:石油がなくて戦争が始まった。戦争が終わっても石油で支配されそうになった。海外のみならず国内の同業者も協力してくれない中、出光興産(作内では国岡商店)の創業者、国岡鐡造と国岡商店の従業員達は奮闘し続ける。熱き人達の物語。
『村上海賊の娘』和田竜
2014年、第11回本屋大賞
テーマ:戦国時代、村上水軍
ジャンル:時代小説
ページ数:198+189+209+209=805p(文庫4分冊)
映像化:未定
著者紹介:他代表作品『のぼうの城』
内容紹介:
戦国時代、瀬戸内海で勢力をほかった村上海賊。その娘、景(きょう)。歴史書を大量に引用しながら、その合戦の様子を描き出す爽快な戦国時代小説。
『鹿の王』上橋菜穂子
2015年、第12回本屋大賞
テーマ:医療、冒険、運命
ジャンル:ファンタジー
ページ数:271+303+245+322=1141p(文庫4分冊)
映像化:アニメ映画プロジェクト始動中
著者紹介:『獣の奏者シリーズ』『守り人シリーズ』ともにNHKでアニメ化
内容紹介:謎の病で多くの民が犠牲になった中、生き残った娘ユナ。そしてヴァン。その病はいったいなんなのか?それを巡る医療サスペンスとして、生命とは何かを描き出す。その病の原因の部分にはある人々の思いが関係してくる。生命、運命というったテーマをファンタジーという形式で鮮やかに描き出す。
『羊と鋼の森』宮下奈都
2016年、第13回
テーマ:ピアノ調律士
ジャンル:青春
ページ数:224p(文庫)
映像化:三浦友和、山崎賢人ら主演で映画化(Prime無料)
内容紹介:高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律の世界に魅せられた外村。そんな外村が調律師として一人前を目指す物語。森の中で暮らした外村は、音を自然の景色として感じ取る。その完成の描写が心地よい作品。
『蜜蜂と遠雷』恩田陸
2017年、第14回本屋大賞
テーマ:ピアノコンクール、
ジャンル:青春
ページ数:454+508=962p(文庫上下)
映像化:2019.10.4 松岡茉優、松坂桃李ら主演で映画化(Prime有料)
著者紹介:同作品で直木賞受賞
内容紹介:4人の天才ピアニスト達のコンクール。それぞれの音楽との関わり方からは、音楽という人間の理解を超えた世界にある力が浮かび上がる。それでも音楽に立ち向かい続ける4人。この4人の物語もさることながら、文章で奏でられる音楽というものを体感できる。
『かがみの孤城』辻村深月
2018年、第15回本屋大賞
テーマ:勇気、つながり
ジャンル:エンタメ
ページ数:554p(単行本)
映像化:未定
著者紹介:『冷たい校舎の時はとまる』でメフィスト賞、『鍵のない夢を見る』で直木賞受賞
内容紹介:学校に行くのが嫌になってしまったこころ。ある日、自室の鏡が光だす。その中に集められた7人の子供達。そんな7人にあるミッションが課される。なぜ、この7人が集められたのか、その共通点はなにか、ミッションを達成したその先に待っているものは。子供の悩みを描き出しつつ、ミステリのようにまとめ上げるクライマックスは圧巻。
『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ
2019年、第16回本屋大賞
結果発表&発表会レポート
テーマ:家族愛
ジャンル:穏やかエンタメ
ページ数:372p(単行本)
映像化:未定
内容紹介:森宮優子には父親が3人、母親が2人いる。そんな複雑な家庭という一見重くなりそうなテーマだが、どうも一番それを気にしていないのは優子のようだ。優子と一番ながくつきあっていくことになるお父さんの森宮さんの、不器用でどこがずれている言動の数々には笑わされることもあり、泣かされることもあり。血の繋がりを超えた真の家族愛を感じることができる作品。
『流浪の月』凪良ゆう
2020年 第17回本屋大賞
テーマ:愛の形、人間関係
ジャンル:静かで少し辛い
ページ数:312p(単行本)
映像化:未定
著者紹介:BL作品多数
内容紹介:それぞれの事情を抱える中で出会った文と更紗。二人の間にある事件が起きる。それはニュースとなり世間の注目を集め、世間や常識というフィルターを通して語られる。真実と事実は違う。他者理解とはなにか、優しさとはなにか、そんなことに思いを馳せる。
本屋大賞まとめ
2004年からはじまり、2020年で17回目となった本屋大賞
自分にとってかけがえのない作品も含め
それぞれ基本情報を紹介してみましたがいかがだったでしょうか?
読んだことある作品、ない作品それぞれあったのではないかと思います
興味ある作品などあれば是非、書店で立ち読みからでも眺めてみてください!
ここまで読んでいただきありがとうございました
おすすめ本は下記記事で
![](https://thun-fine.com/wp-content/uploads/2019/10/超主観-本屋大賞大賞作品おすすめベスト7-1-320x180.png)
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