2016年第13回の本屋大賞を語る上で避けては通れないのが
『君の膵臓をたべたい』住野よる
惜しくも大賞は逃したが
その強烈なタイトルも手伝って
「キミスイ」の愛称で
実写映画とともに大ヒットし
アニメ映画にまでなったこの作品
実際タイトルのインパクトは強いが
インパクトの強さだけでなく
読み終わったあとに
改めてタイトル
“君の膵臓をたべたい”
というタイトルを聞いたとき、見たときのあの感動は忘れられない
タイトルが全身に染み渡り、ちょっと呆然としてしまう
とてつもなく破壊力のある住野よるさん、渾身のデビュー作
出会えてよかったと心から思った作品
実写映画、原作、アニメ映画それぞれについて触れていく
住野よる
2015年にこの
『君の膵臓を食べたい』
でデビュー
いくつかの賞に応募するも
結果がふるわず
小説投稿サイトに投稿して
話題になり、デビューという経緯
そしてそれがこれほどの大ヒットとなった
こういうデビュールートがあるのは本当にいい時代!!
まだデビュー間もないので作品数は多くない
『また、同じ夢を見ていた』
『か「」く「」し「」ご「」と「』
『夜のばけもの』
『青くて痛くて脆い』
『麦本三歩の好きなもの』
がある(2109年4月時点)
『君の膵臓をたべたい』(実写映画)
この作品との出会いは
金曜ロードショーの実写映画バージョン
その実写映画にすこぶる心をうたれ
なんとな~く生きている己を恥じ
めちゃめちゃ軽度のうつ状態になった笑
とにかく色々な感情が巻き起こってしまった
そんな作品 それだけ力のある作品
そしてその色々な感情を整理するために、
どこに特に心揺さぶれるかを知るために、
また感動を味わうために
小説を読んだ
そして読み終わって少しした頃にアニメ映画が公開されたので、見た
実写映画→小説→アニメ映画
という順番
小説の話をする前にちょっとだけ映画の話をさせていただく
なぜなら
大好き
だからだ
先に原作の方のあらすじ
ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!
とうい小説だ
病気の女の子と、内気な男の子
というなんともありがちな設定である
だがしかし、どんなに設定、ストーリーの大枠が似ていても
すべての作品はすべて違う魅力がある
そして、このキミスイは
原作はもちろん
脚本
ヒロインを演じる浜辺美波の、美しさ、透明感、多彩な表情
主人公を演じる北村匠海の絶妙な雰囲気
そして、挿入されるピアノ音楽
とってもきれいな映像の景色
どれもが大好きだった
AmazonPrimeでも見れるようになっているので
是非見てほしい
『君の膵臓をたべたい』小説
さて、小説の方に話を戻す
せっかくなので映画との比較での話をすると
映画と小説は
かなりテーマが違うという印象
映画はヒロインが病気と戦う様子
小説は人との壁を作っていた青年が、ヒロインとの会話を通して成長していく様子
にスポットライトがあたっている
ちなみに、アニメ映画も主人公にスポットライトがあたっている
アニメのほうが原作への忠実度は高い
実写映画の監督をやった月川翔さんの映画を2つほど他にみたが、もしかすると
月川さんは、原作やリアルへの忠実性というものにそこまで比重を置いていないかもしれない
もっと月川さん自身が伝えたいこと、表現したいことに重きをおいているのかも
(まだこれはなんとなく思っただけだが)
これは良いとか悪いとかいうことじゃない
長い小説を映画にするときとか、あまり忠実性を意識しすぎると内容薄めただけの残念な作品になることもよくある
実際に小説と比べて追加されているセリフは
ヒロインにスポットライトがいくようにするようなものが多い
ということで、どっちが良い悪いではなく
両方を鑑賞することで、それぞれ別の視点から物語をみることができる
2つセットにすることで、味わいが何倍にもなる
感動の質が違う
小説は、会話も多く、すんなり読めるが
読了感は ”さわやか” よりは ”ずっしり” に近いかんじ
ずっしりっていっても 重い感じではないけど
なにか、いろいろ考えさせられる
登場人物も ヒロインのほうは、理想的だけど
主人公のほうは、ちょっとかわってるけど現実的かな
マッピングは難しいけどこんなかんじ
小説の方にずっしり感を与えているのは、主人公についての記述の多さ
主人公はあんまりしゃべらないので、映画では表現できない部分が多い
それも、映画で少しスポットを変えた理由かもしれない
一方、小説はそれができる
そして、主人公の心境の変化、成長が小説のほうのメインテーマであり
読了感にずっしり感を与えている
実写映画はつらくて苦しいんだけど
ちょっとずっしりというのとは違うかな
繰り返しになるが、映画小説それぞれにそれぞれの魅力がある
『また、同じ夢を見ていた』も読み終わった後に不思議な感覚になった
まとめ
映画と小説セットで感動できる
大好きな作品
映画しか見ていない人には小説も読んでほしいし
小説読んだ人にも、映画を見てほしい
住野よるさんには今後も注目!