ビジネス書

【書評】『読みたいことを、書けばいい。』田中泰延|すべての書く人に捧げたい、自分のために書くとはどういうことか

出会ってしまった

最高の本に!!

 

『読みたいことを、書けばいい。』田中泰延

 

 

特に雑記ブロガーの方に、この身を賭してでもおすすめしたい1冊!

とぅーん
とぅーん
さすがに死ぬのや嫌だ!

もし読んで気に入らなかった場合、「あのクソマグロ」とでも思いながらお魚屋さんで鉄火巻を購入していただきたい

 

「わかりやすい文章」「伝わる文章」「SEOに強い文章」そういった類の文章術の本ではない
ノウハウとか、スキルというよりは、心構えっぽい部分のほうが強い

でも、「書く」という1つの表現行為において
結局一番大切なことは、この心構えの部分だと強く感じた

 

自分はただ書くことが好きで、だからブログをやっている
いわゆる書きたいことを書いている、そういったかんじの人間

書くことによって理解が深まる、それがまずなにより楽しい
そして、うっかり誰かの役に立ったりしたらもっとうれしい

そんなかんじだ

 

ただ今一度タイトルにもどってもらいたいが

「書きたいことを」ではなく「読みたいことを」書くのだ
これは似ているようですごく大きな違い

「こういうことが伝えたい!!」「書くのが楽しい」その気持ちは気持ちで大切なのだが
そこからもう一歩踏み込んで、「読みたいことを書く」とはどういうことなのか?

 

「書きたいことを書く」も自由で楽しいのだが

公開している以上、書くこと、そのもので満足する自己満足は嫌だな

そう思っている自分のような方にこそ、読んでいただきたい

 

 

 

内容がいいことはもちろんなのだが
なんといってもこの本は笑える

 

まず冒頭からこんなかんじで始まる

 自分ひとりのために、料理を作って食べたことがあるだろうか。
ここで、「ないです」と言われたら、この本は出だしで転んでしまう。そういう人は寝転がって読んでいただければ幸いである。いずれにせよ購入することが大切だ。

 

とぅーん
とぅーん
出だしで転んだとしても転んだまま読ませようとしてくる

なんという鬼畜、せえて座って読ませてほしい

そして「いずれにせよ購入することが大切だ」

て、無茶苦茶だ笑

まったく腹が立つ、いずれにせよ購入することが大切だ

 

他にも1つだけ

 本書を読んだ人は、このような悪文に陥ることなく、基本の起承転結を身につけて、軍靴のことばかり考えず、存分にたい焼きへの愛を語ってほしい。

 

ここだけ読んでもさっぱりわからないだろうが、ここに至る一連のくだりもほんとおもしろいので、体験してほしい

と面白さは読んで体験してもらうとして、ここからは内容面についてご紹介!

 

この本を読んだからといってPV数は増えないかもしれない
収益も増えないかもしれない

でももっと大切なことを知れるし
なにより軍靴の音が聞こえてくるようになる!!!

『読みたいことを、書けばいい』の3ポイント

事象と心象が交わるところに生まれるのが随筆

書きたい人がいて、読む人がいる文章のボリュームゾーンは「随筆」なのである。
(中略)
わたしが随筆を定義すると、こうなる。
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」

 

人間は、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、読みたいのである。
そして、ネット上で読まれている文章のほとんどはこの「随筆」にあたるものである。

 

まず自分たちが書いている文章がどういうものなのかをきっちりと定義する

言葉を定義すると本質がどんどん見えてくる

 

自分たちが書いている文章は、小説ではないし、ニュースでもない
ニュースといっても、単に事実を伝えるものもあれば、ライターさんの考えが多めのものもある

そう、いまのこの、事象と心象のバランスがそれぞれ違うよね!
と知ることが、「随筆とは事象と心象が交わるところに生まれる文章」だと知る意味

 

 

さて、その上でこの本ではこう続く

つまらない人間とはなにか。それは自分の内面を語る人である。少しでも面白く感じる人というのは、その人の外部にあることを語っているのである。

 

 書くという行為において最も重要なのはファクト」である。ライターの仕事はまず「調べる」ことから始める。そして調べた9割を棄て、残った1割を書いた中の1割にやっと「筆者はこう思う」と書く。
つまり、ライターの考えなど全体の1%以下でよいし、その1%以下を伝えるためにあとの99%以上が要る。「物書きは調べることが9割9分5厘6毛」なのである。

 

「内面をつらつらと語っているのはつまらない」
たしかにそうだ

大した表現力もない人が内面を語っても陳腐になるだけ

 

 

このあとさらに1次資料にあたる重要性についても指摘

まず調べる、そしてその中の1割にしぼり、その中の1割に考えや意見を乗っける

最初にあたった資料が5割意見、みたいな内容だとしたら
事実4.5:他人の意見4.5:自分の意見1

みたいになってしまう
こうなっちゃうとよくわからんものができかねない

一次資料の中から自分なりに1割選び取るということに意味がある

 

まず調べるの部分、そしてそこから9割を削る作業
そしてその1割と組み合わせて自分の意見を乗っける

中々に果てしない道

でもこういう覚悟を持ってやっているのが
田中泰延というライターなのだなと

 

物理とか歴史とかそういう記事を書くときは特に
この調べるのスタンスを忘れないようにしないといけない

小説やビジネス書の書評でも
関連情報とかも含めてしっかり調べた上での記事がかけるようになりたい

 

引用多くなってきちゃうがもう1点

 調べることは、愛することだ。自分の感動を探り、根拠を明らかにし、感動に根を張り、枝を生やすために、調べる。
愛と敬意。これが文章の中心にあれば、あなたが書くものには意味がある。

 

 

書くためには、まず調べる、これを忘れない

思考の過程にこそ意味がある

 順を追って考え、順を追って書き記していくことが自分自身の理解への道のりそのものであり、結果として人の気持ちを動かす文章となる。その「思考の過程に相手が共感してくれるかどうか」が長い文章を書く意味である。
いきなりズバっと結論を提示しても、なんの共感もされない。

 

 

「自分がビジネス書の要約を読んでも意味ない」と思う部分

結局人が動くかどうか、心に響くかどうかってのはその過程に支えられている

この過程がかかれていることこそが、本の価値

心の動きと頭の動き、それらを追って初めて1つの結論が大きな意味を持ってくる

 

むしろその過程や考え方を学ぶことにこそが価値があることも多い

 

数学の参考書とかでもよくあった

「ここではこの公式を使って~~」

とぅーん
とぅーん
なんでそれを使おうと思ったんだよ! そこを話さんかい!

実際に数学の問題を解くときに
一発で正解にたどり着くわけではない

自分のもっている知識と組み合わせて
これかな?あれかな?と試してみて
初めて正しい方向が見つかる

そういう過程はどうしても省略されてしまう

だから塾講師やってたときも
「これかこれかこれっぽくない
1こずつやっていってみよう!」

てな感じで授業をすすめていった

「これ使えばできるよ」
そう言ってしまうのは簡単だが、そんなのは全然相手のためにならない

「わかりやすい」、が重要とは限らない

 

とぅーん
とぅーん
塾講師の方は分かりづらい授業をしよう!

学生さんはわかりづらい先生のもとで学ぼう!

遠回りを楽しもう!

ちょっと極端な言い方だがいくらかの真実が含まれていると思う

 

 

で、文章の方に戻って
「思考の過程を書く」

これも1つ目のセクションで触れた
「つまらない人間とはなにか。それは自分の内面を語る人である。」

という部分との塩梅がひじょーーに難しい

 

思考の過程を書く、も意識するが
何でもかんでも書くのではない

 たくさんある情報の中で、「伝えたい」ものを拾いあげてトピックにすること。そして伝えたい部分にたどり着くために、必要な手順を踏んで、過程を示す。それが長い文章を書く意味なのだ。
うまくかけたもよく書けたもない。ただ「過不足がない」と自分で思えたとき、それは他人がよんでもりかいできるものになるのだ。

 

「過不足なく」思考の過程を書く

 

書くことは生き方の問題

何度も触れているように

「書きたいことを書く」と「読みたいことを書く」はぜんぜん違う

 

例えばおいしいパンケーキを食べた

とぅーん
とぅーん
このパンケーキめっちゃおいしい!!!

まぐろ(中身は24歳男性)がこんなことを書いていたとしてだれがそんなもの読みたいのかと

その店のパンケーキがおいしいか気になっていた人

ものずきなひとは、それも1つの情報として楽しむかもしれないが

基本的には読みたい文章ではない
ただ、その時の思いを垂れ流したいと思った人による、書きたいことを書いただけの文章だ

別にそれを否定するわけではない
ただ、その「書きたいことを書く」という楽な姿勢に対して「読みたいことを書く」という姿勢は覚悟が必要だということ

 

本書の中で折に触れて
田中さんは「書くのが嫌いだ」と言う

そこにはすごくいろんな思いがあるだろうし、一言で表せるものでもない
でも、その一端に本書を通して触れることができる

それこそ過程なので、1冊読まなければ触れられない

それでもなお、1つだけ引用させてもらうなら

 自分が読みたくて、自分のために調べる。それを書き記すことが人生をおもしろくしてくれるし、自分の思い込みから開放してくれる。何も知らずに生まれてきた中で、わかる、学ぶということ以上の幸せなんてないと、私は思う。
自分のために書いたものが、だれかの目に触れて、その人とつながる。孤独な人生の中で誰かとめぐりあうこと以上の奇跡なんてないと思う。
書くことは、生き方の問題である。

 

書く人は『読みたいことを、書けばいい』を胸に刻み込む

「書きたことを書く」と「読みたいことを書く」

この間はすごく大きく感じる

共感を集めるとか、わかりやすい文章とか
そういうのではない

「読みたことを書く」
そんなライターの田中泰延さんの信念を感じながら

笑えてしまう

書いて生きる人生を選ぶ覚悟
書くことの楽しさと厳しさを教えてくれる

そんな本です

 

キーワードとかそういう話じゃなくて
まず自分が読みたいと思えるくらい「過不足なく」書けているのか?
これを問い続けることを決して忘れないように
そのためにも、書いた記事は必ず読み返す

 

すべての書く人に読んでほしい1冊です

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました

 

 

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