小説

【感想】『桜風堂ものがたり』村山早紀|書店員さんの思いを感じより本が好きになる

本が大好きなあなた

書店が大好きなあなた

ちょっと小説読んでみたいなと思っているあなた

 

そんなみなさんがきっと好きになってくれるであろう作品が

『桜風堂ものがたり』村山早紀

普段あまりスポットが当たることのない書店員さんを主人公として描かれ
書店員さんの思いを感じつつ、改めて自分にとって本当はなんなのだろう、そんなことを考えるきっかけを与えてくれる

最近にかかれた本ということで今の書店の厳しい現状を感じ流こともでき
読書ブログの話も出てくるのでブログやTwitterをやっている人にとっても共感できるような内容が多い

下記の文章から始まるこの作品の世界

どこか神秘的で幻想的ではあるが
やけに身近にも感じられ、「どこかに必ず存在する」
そう信じずにはいられない

 

冒頭文

 とある県の山間に、時の流れから取り残されたような、美しく小さな町がある。
緑の木々に取り巻かれ、その枝葉や蔓の作る緑色の波にいまにも呑み込まれてしまいそうな、静かで小さな町だ。風に鳴る葉擦れの音は、いつも潮騒のように、あるいは子守歌のように、この町とそこに住むひとびとを包み込んでい。

 

 

 

村山早紀

1993年『ちいさいえりちゃん』でデビュー

2017年に本作『桜風堂ものがたり』で本屋大賞ノミネート
2018年に本作と舞台や世界観を共有する『百貨の魔法』でも本屋大賞ノミネート

同じく2018年に本書の続編『星をつなぐ手』が出版されている

昭和のヒーロー特撮番組や魔法少女・魔女っ子ものアニメ番組の影響を受けているという村山さんの作品は
ファンタジーが多い
シリーズ物も多く

「コンビニたそがれ堂 シリーズ」
「風の丘のルルー シリーズ」などが有名

 

優しく嬉しいものがたり

あらすじはこちら

書店に勤める青年、月原一整は、人づきあいは苦手だが、埋もれていた名作を見つけ出して光を当てることが多く、店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。しかしある日、店内で万引きをした少年を一整が追いかけたことが、思わぬ不幸な事態を招いてしまう。そのことで傷心を抱えて旅に出た一整は、ネットで親しくしていた、桜風堂という書店を営む老人を訪ねるため、桜野町を訪ねるのだが…。  (「BOOK」データベースより)

 

そして傾向分析チャート

人物は優しいが何となくいそうな感じで

穏やかで優しく展開していく

読了感としては単に爽やかってよりはいろいろと考えるきっかけになるって意味でややずっっしりより

書店員さんの本への思い

 店主は本を選び薦めてきたのだ。活字の世界の遥かな旅の道連れ、あるいは空にあって、方向を指し示す星のように。

 

「わたしは先生の言葉を、もっとたくさん読みたいと思います。その言葉を、遠くまで、そして未来まで、たくさんの読み手に手渡したいです。それがわたしの仕事ですので」

 

アマゾンや楽天というECサイトの発展
そして、スマホの普及による活字離れ

それらによって次々と書店が潰れていってしまっている現状

しかしベゾスがAmazonを作るより
ジョブズがiPhoneを作るより

ずっと前から存在していたのが書店

そして書店員さんの思いってのはきっと今までもこれからも変わらない

言葉を愛し、活字の世界の旅を楽しむ
その言葉を、そして旅を
時代を超えて、空間を超えて伝えていく

膨大な量の本の中から
時に自分も気づけていないような本があることも重々承知の上で
せっかく自分がちゃんと出会えた本はその魅力を伝えていきたい

本はいつだってそこにいる
逃げていくことはない
でも埋もれてしまうことはある

とぅーん
とぅーん
ほんの少しでもいい

素晴らしい作品との素晴らしい出会いに力添えをしたい

書店員ではないけれど
ブログやTwitterを通して、そんなことができたらいいな

 

読書ブログについて

 リアルの世界では、声帯を震わす言葉にはならず、誰かの耳に届くことのなかった書物への愛や熱い想いは、この世界に存在しなかったのではなく、ひっそりと誰かのために書かれた恋文のように、ネット上に存在していたのだ。
そういうことなのだ。言葉を愛する者は、言葉を綴らずにはいられない。

 

「読書好きには”暗い”イメージがある」という話はよく聞く

そんなことはない!という人もいるが
やっぱりこれはある程度本当なんじゃないかなと自分は思っている

ただこの”暗い”て言葉の定義が甘いだけで

ここでいう”暗い”は自分の世界を持っているような
一人の時間を好むようなそんな意味合いがある

みんなとワイワイ騒いでいることが好き、アクティブに外で遊ぶのが好き、というものを”明るい”とした場合の”暗い”だ

たとえ実体は、まだ見ぬ世界で旅をしていようと
物理的には一人でいる

そういう意味だったらやっぱり読書好きは”暗い”と思う

そしてそんなイメージを持たれているということが原因で
読書好きってのをあんまり人に話さない人も多い

話してもわかってもらえないから
暗いとか真面目とかいう印象を無駄に持たれるから
話すと心の深い深いところにまで辿り着いてしまうから

それでもやっぱり
「言葉を愛する者は、言葉を綴らずにはいられない」

それを可能にしてくれるのがネットの世界だったりする

これからも自分の拙い文章力に悶々としながらも
自分の中にある言葉でいろんな思いを綴っていく

自分の書店を持ったなら?

もし自分の書店を持って本を並べるならどのように並べるだろうか??

本書の主人公、月原一整が、兼ねてよりブログを通じてやりとりしていた人が経営する書店を訪れた場面

 本が好きな常連客には、ひそかに、暗号のようなメッセージをささやき、これから読書の世界へと踏み込もうとする、新しい読み手への目配りも忘れない。余裕とゆとりのある優れた書店なのだと思った。

これってめちゃくちゃ難しいと思う
本への愛と知識、両方がすごく深くて初めてたどり着ける領域

 

ただそこまで達していなくても
自分で書店を持たなくても
ブログなり何かしらのSNSを使うことで自分なりの書棚を作ることはできる

今は平積みのような見た目にはできないが
深〜い深〜いところでつながっているような結びつきを感じていけるように

そしてたくさんの作品が自分の中の一つの世界になっていくように
これからも本を読んでいきたいし

その世界の魅力をこれからも少しでも伝えていきたい

 

まとめ

小説の感想にしてはちょっと雰囲気の違うものになってしまいましたが

それくらい本が好きな人にとって
いろんなきっかけになる作品です

これから読書の世界に踏み込みたい人も
すでに読書の世界に魅せられている人にも
おすすめの1冊です

 

ここまで読んでいただきありがとうございました