「読書はいいよ!」
という人の中でも
読書のメリットを、「日常生活に役立つかどうか」と考え、小説は余り読まない人もいます。
かくいう自分も
読書始めたばかりの頃(大学入学頃)は知識系の本ばかり読んでました。だんだん自己啓発とかも読み出して、最近小説も読みだしたというかんじです。
最初は娯楽として読んでいました。
しかし、理論物理系で大学院まで進学してしまった自分はここでついつい分析してしまうのです
正直言って「自分は小説が心の底から好きでずっと読んでいたい!」というタイプの人間ではありません。
疲れたなーと思った時に読めるのはビジネス書であって、小説ではないのです。
なんてったって、中高大院と、いわゆる「勉強」をしてきた自分にとっては、知識をつけることのほうが脳的に楽なのです。
ただ、最近はできるだけ小説を読むようにしています。
これは意識的に「読もう!」としているというのも理由の1つですし、自然に小説に手が伸びることも増えてきたという理由もあります。
そこで、意識的「読もう!」としている理由についてご紹介しようと思います。
なのでこの記事はこんな方におすすめ!
ビジネス書はよく読むが小説はあまり読まない
小説が好きだがちょっと分析的にメリットを知ってみたい
逆に、「小説は読むけど、ビジネス書とか自己啓発はちょっと。。。」という人は下記記事の合わせてお楽しみください。
>> 自己啓発本は無駄なのか?メリットと読み方の注意点
小説を読むメリット
小説のメリットを端的にまとめていたのが
『インプット大全』樺沢紫苑
インプット大全については書評記事も書きました
>>【書評】『インプット大全』樺沢紫苑|インプットのことならおまかせ!
(1)本が好きになる
(2)頭が良くなる、脳が活性化する
(3)共感力がつく
(4)創造性が増す
(5)ストレス解消効果
(6)他人の人生を疑似体験できる
(7)楽しい、人生が豊かになる
(『インプット大全』樺沢紫苑)
シンプルにまとまっているし、概ね同意です。
多少かぶる点もありますが自分としては、3つのメリットを感じています。
・想像力が高まる
・色々な人の思考や感情に触れられる
・知らない世界に出会える
必ずしも小説でないといけないわけではないですが、活字を媒介とした小説だからこそ、という点に重きをおいてご紹介していきます。
※ちなみにインプット大全でも
「語彙力が増える、とか、文章力が上がる」とは書いていないように「語彙力や文章力」が上がるかはよくわからなないです。
少なくとも200冊くらい小説(エンタメメイン)を読んでも、語彙力も文章力も大してあがってないと思います。
小説読書はアウトプット
ビジネス書系の読書術の本を読むと、「読むだけでは意味がない。アウトプットが大切だ!」とどの本にも書かれています。
ただ、小説は読むことそのものがアウトプットになります。
どういうことかというと、小説は活字をもとに、自分の頭の中で想像していかないといけません。
この、言葉から自分の頭の中でストーリーを展開させるプロセス。これこそが立派なアウトプットになるのです。
書くわけでもないし、しゃべるわけでもないし、行動するわけでもないですが、想像するという活動をするのです。
自分のような理系脳の人、論理的な思考回路が強い人は、想像するのが苦手だったりします。
想像するという脳の使い方をすることで、普段使っていない頭を使っている感覚がします。想像するという活動によって、脳が活性化するのです。
知識やスキルをつける、成長するという意味ではビジネス書、学術書は有効だが、脳を鍛えるという意味でいうと小説に利がある
言語化された思考や感情に触れられる
「言語化された思考や感情に触れられる」
これは映像作品と小説の決定的な違いです。
「小説原作と映像作品どっちが良いか?」みたいな議論が時々あります。
どっちが良い悪いを決めること自体がそもそもナンセンスなわけですが、両者は似ているようで、大きな違いがあります。
映画では感情は、役者さんの演技と音楽などで示すのに対して
小説では言葉のみで表す
というのはかなり大きな違いです。
人は普段、感情を言語化したりしません。
もし、映像作品の中でナレーションや役者に、思考や感情をすべて語らせていたらものすごい違和感を感じるでしょう。
なので感情は、表情や声のトーンなどで伝えるのです。あとは、それにうまくBGMを添える。
一方、小説では視覚情報や聴覚情報がなく、すべてを文字で伝えるしかありません。
小説内なら、思考や感情がすべて文字にされていようと違和感はありません。
・「悲しい」、「楽しい」というような感情を表す言葉
・思い浮かんだ情景
・比喩
などを巧みに使い、内面での心の動きを書き起こしていきます。
表情や態度の変化といった、外面に現れることを描写して表すこともあります。
その表現の仕方は実に多彩で繊細です。
原作作品を読んだ後に映画を見て「物足りない」と感じるのは、心の中の動きが十分に表現しきれていないと感じた時です。
また、感情という、言葉に出来ないはずのものを、言葉で伝えるという無理難題をやっているので、どんなに著者が丁寧に書いたとしても読み手の感じ方の自由度が非常に高いです。
映画の場合は作品として強調されている部分が、一番印象に残りやすいですし、感じ方も比較的似てきます。一方、小説の場合は、人それぞれ印象に残る部分が変わりやすいですし、感じ方の自由度も高いです。
知らない世界に出会える
小説で描かれる世界は実に多様です。
SFが描くような未知のテクノロジーが使われている世界
ファンタジーで描かれるような魔法のような幻想的な世界
感情のところでも話したように、文章というのは読み手の自由度が非常に高いです。
同じ文章を読んだとしても、思い描く世界は人それぞれです。
活字から呼び起こされる世界には無限の可能性があり、同じ作品を読んでいても、読者はそれぞれ違う世界を見ています。
「どれくらい鮮明に頭の中で映像化するか?」という違いも、誰かと話したりすると面白いです。
結構似通っていることもあれば、まるっきり違うことだってあります。
また、事実に基づいた小説では、リアルの世界の情報も知ることができます。
例えば辞書づくりの世界を描いた【感想】『舟を編む』三浦しをん|文章のプロによる言葉のプロ達の青春物語や、
水墨画の世界を描いた【感想】『線は、僕を描く』砥上祐將|水墨画の世界に触れ、心の世界に触れるなど
辞書づくりも水墨画も、まったく知らない世界でした。
ふいに手にとった1冊から現実であれフィクションであれ、未知の世界がはじまる。その世界には自分の想像で埋める余白がたくさんある
これも小説の大きなメリットです。
また、小説は日常生活では出会いたくないような出来事、目を避けているような出来事を目の前にドン、と突きつけてくることがあります。
当たり前だと思っていた貴重なことに気づかせてくれることがあります。
それも小説のメリットだと感じています。
最後に、知らない世界とはちょっと違うし、小説に限った話ではないがですが、フィクションの世界についての話をしようと思います。
エンタメ小説の中では、すごく素敵な人たちしか出てこないような作品があります。
「これは虚構の理想なのか??」
これに対しては「リアルな日常の方が常識に囚われ、周りに合わせた結果うまれた虚構であり、小説で描かれているほうがそういう余計なものを削ぎ落とした真の世界」と自分は思っています。
小説のメリットまとめ
- 小説は想像力を豊かにし、脳のトレーニングになる
- 言語化された思考や感情に触れられる
- 未知の世界を味わえる
別にメリットなんて考える必要もないんですけどね。
あまり小説は読まないって方も、たまには小説どうでしょう?
普段から小説読む方は、小説をどういうものとしてとらえてますかね?
そんなことを考えるきっかけにでもしてもらえたらうれしいです!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
これから小説(エンタメ作品)読んでみようという方には、本屋大賞作品が読みやすくて明るくておすすめです。
特に印象的だった作品につていは、感想記事も書かせてもらっています。これをやると、作家さんがやっている、感情を文章にすることの難しさを痛感させられます。
>> 小説個別感想記一覧